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どこかで。「世界報道写真展2008」

もう昨日になるのか。大学のホールで、「世界報道写真展2008」を開催していた。
報道写真なだけに様々な写真があったが、半分ほどは世界のどこかの紛争に関するものだった。ガザ地区からイスラエルへ発射される2発のロケット弾…2007年、パキスタンにおけるブット暗殺自爆テロの直後、人が横たわる中でひとり天を仰ぐ男…
どこかの雑誌で目にしたものもいくつかあったが、これだけ大きく写されているものを目の前にすると、やはりリアルに感じる。

写真はたくさんあったが、なかでも目に留まって印象的だったのはみっつ。
ひとつは、パキスタンとアフガニスタンの国境付近において、付近の村の住人と米兵士が向かい合っているシーン。→Link
アフガニスタン南部とパキスタンの国境というのは山岳地帯になっていて、パキスタンからアフガニスタンへの武器の密輸ルートが複雑にいくつも通っている。これが、アフガニスタンにおけるタリバンなどの組織が、その生命を維持できる最大の理由のひとつになっている、と授業の文献で読んだ。いくら国際社会が禁輸を発動しても、制御は困難なのだ。
そんな中で、空爆のイメージの米軍が、こういう地味で地道なこともやっている画は新鮮だった。
果たしてこれに意味があるのか?こんな場所で活動するより、他のアフリカの方とか人員の足りない所に回した方が良いのではないか?―こんな議論は今回は脇に置いといて。
ただ、文献で読んで頭でイメージして、それをもとにあーだこーだ言ってたのが少しナイーブというか、そんな感じがした。こうして現実を写したものを見るのはインパクトが違う。ズシッとくる。これを抜きに何かを議論しても、何か物語の上の話になってしまう…これを見てそんな気になった。

もうひとつは、これ。→Link
クルド人女性たちが、武装の訓練を受けている。
北イラクのクルド人自治区の問題。これについては勉強不足で知ッタカできないが、ここでもイメージがリアルになる感覚を味わった。

三つ目、→Link
アフガニスタンの山岳地帯の村に、NATOによって○○弾が落とされた場面…やったはず。画面上ではよくわからないかもしれないが、この村、見た感じ静かで落ち着いてて良い感じだっただけに、どこかショックだった。

この写真展を通して、「第三者」から少し「当事者」に近づいたというか、「現場」を感じることができた。僕らが授業とかで「空爆があーだこーだ」言って、それって要はこういうことか…みたいな。。
そしてあらためて、報道の意義ある側面を見た気がした。

…つい先日も、インドのムンバイで日本人の犠牲者を含む大規模テロがあったんですね。
死者101人。
日本でもかなりの注目を集めているのだろう。
これ以外にも、カブールで再びテロ。タイでも、よく知りませんが、また衝突があった。
けど、大衆メディアでは報道されない地球のどこかで、毎日、何かに虐げられて死んでいく人が現実にいること。それを数えようとすると、両手の指ではすぐ足りなくなることも、同時に心に留めておく必要があると…そう思う。
そして、私の命と、その指一本の命とは、何かのはずみで入れ替わっていても不思議でなかったこともまた、忘れないようにしたい。

長文でした。。

"World Press Photo of the Year Winners Gallery"
by romantic-sloth | 2008-11-28 02:59 | APU-大学生活-